「高品質な音源”ハイレゾ導入”の分かりやすい方法-前編」では、生の演奏を録音してからCD、ハイレゾ音源への変換など実際に行われる行程を、各種圧縮方法を踏まえつつ説明していきました。
PCを使用し、USB-DAC機器を接続し、自分の好きな曲をハイレゾ音源配信サイトよりダウンロードした音源を管理するためのPCで稼働させるソフト等についても具体的に説明をしております。
そして、現在私自身が愛用している機器構成などについても紹介させて頂きました。
前編で紹介しました「PCオーディオ」は、古くからのオーディオファンですでに自分好みのオーディオシステムを構築してる方に、特にお勧めです。
こうした方々は現行のシステムでも徐々に満足できなくなり、もっと良い音質を実現させたいと思っていますが、これから先は泥沼になることをよくご存じで踏みとどまっているのではないでしょうか。現に私がそうでした。
しかし、ようやく様々な条件が揃い、従来から聞いていたCDよりも数段高音質なハイレゾ音源が配信サイトからネットを通じてダウンロードできる、そしてそれらを比較的低価格でも高音質で再生可能なUSB-DAC機器が発売されたことで、現在自分が所有しているスピーカー、アンプ等を活用して素晴らしい音質を楽しむことが出来るようになったのです。
ハイレゾ音源を購入しダウンロードするのはパソコンで行うので、パソコンをある程度使いこなせる方にとって、前編で紹介したPCオーディオを選ぶのが最も手軽といえるかもしれません。
後編では、外出先でも楽しめる「ポータブルオーディオ」について説明していきますので、オープンな環境でハイレゾを楽しみたいと思う方には特にお勧めです。
しかし、ハイレゾで採用されるファイル形式、またCDとはどのように違うのかなど最初に理解しておく方が望ましいと思いますので、前編をまだお読みでない方は是非前編を合わせてお読みください。
この記事の目次
外出先で楽しめるハイレゾ対応「ポータブルオディオ」の選び方
1979年のウオークマン登場以来、日常的に音楽を楽しんでいた方法を「ポータブルオーディオ」と呼びます。
ポータブルCDプレイヤー、ポータブルMDプレイヤーなど様々なスタイルのものが登場しました。初期ウオークマンでのカセット、MDプレイヤーは明らかに音質劣化がありましたが、CDプレイヤーは満足できる音質だったといえるでしょう。
しかしポータブルCDプレイヤーは音飛びなどを防ぐために、聞く環境・状態に配慮する必要があり今ひとつ使いづらいものでした。
CDよりも高音質な音源をどこでも楽しめる「ハイレゾ対応ポータブルオーディオプレイヤー」の登場は、音楽好きな人にとっては画期的な出来事といえるでしょう。
では構成からみていきましょう。
まずは「ヘッドフォン」から選ぼう
ヘッドフォンを選ぶには、やはりイヤフォン・ヘッドフォン専門店に出向き、店員さんの意見も参考にして、予算を考慮し、視聴することを強くお勧めします。
ヘッドフォンの世界は実に多種多様で奥が深く、そうした製品に幅広く精通した店員さんにアドバイスを受けて視聴するのがお勧めです。
そこで、私が実際に通っている専門店でお勧めなお店を紹介します。
東京・大阪・名古屋に6店舗構えている「e☆イヤホン」というお店です。
「e☆イヤホン」点についての詳細はこちら ⇒ 「e☆イヤホン」
このお店の特徴は豊富な品揃えはもちろん、定員さんの様々な製品に関する知識が豊富で安心してアドバイスを受けれる点、そして豊富な中古品の品揃えで何と、店頭にある中古品すべては基本的に視聴が可能であるという点です。東京秋葉原店の様子です。
店内の様子
入ってすぐは、イヤホンコーナーがお出迎え。
WEB本店でも紹介されている、U5000、A10000などの企画コーナー展開されています。

ちょうどお店の真ん中を縦断するようにはしるのが通称「イヤホン通り」
国内・海外問わず、世界中のイヤホンがずらりと展示されています。



いかがですか、すごい売り場でしょう。こうした売り場で専門家のアドバイスを気軽に受けながら、好きな音楽を思い切り良い音質で聴ける心地よさが自分を癒やしてくれる世界を想像するとワクワクしませんか!
【一口メモ】「Hi-Resロゴ」がついていないヘッドフォンではハイレゾを楽しむことが出来ないのか
ヘッドフォンを選ぶ際に気になるのは「Hi-Resロゴ」です。これは、日本オーディオ協会によって認定されたハイレゾ対応機器であることを意味しているマークです。

では、「Hi-Resロゴ」がついていないヘッドフォンではハイレゾを楽しむことが出来ないのでしょうか?結論から言うとそんなことはありません。
Hi-Res ロゴの付いたへッドフォンは、40kHz以上の高域再生が可能であることを示しています。逆に言うと、Hi-Resロゴの付いていないへッドホンの場合、40kHz以上の高音がでない場合があるのは確かです。
日本オーディオ協会に所属していないメーカーの製品にはHi-Resロゴが付いていないにもかかわらず、高域冉生が可能な場合もあります。
CDからハイレゾに進化したのは「高域再生」だけではありません。前編でも紹介したように、「ダイナミックレンジ」(音声信号の最小値と最大値の比率)が広がったことも大きな要素となっています。
「Hi-Resロゴ」がついていないヘッドホンでも、耳を澄まさなければ聞こえないような微小な音や細かいニュアンスを聞き分けられるダイナミックレンジの広さを実現している可能性は大いにあるのです。
ダイナミックレンジの広さについては、スペック表に必ず記載されている「再生周波数帯域」のような数値として表せないため、実際に聴いてみるしか選ぶ方法はありません。
私が愛用しているSony MDR-1Aは音質に定評あるオーバーヘッド型のヘッドフォンです。100kHzまでの高域再生に対応したHi-Resロゴのついたモデルです。価格:22,000~34,000 参考まで
一方、Shure社のカナル(耳栓)型ヘッドフォン【SE215SPE-A】は再生帯域が17.5kHzまでしか(つまりHi-Resマークがついていない)対応しませんが、緻密な表現力で人気の高い定着モデルです。ぜひ、自分で視聴してその違いを体験してみてください。
ハイレゾ対応のヘッドフォン視聴に際し
まず選び方として「定番」とされていいる1万円前後の製品から視聴することをお勧めします。
これより安い価格帯の中にも、なかなか優れた製品もありますが、やはり1万円を超えた価格帯から、ハイレゾの情報量を描き分ける製品が増えてきています。
さらに、上を目指す場合は3万円ぐらいから選ぶのが目安になります。さらに音質のグレードが上がります。
聞き比べる際に、一つ重要なポイントがあります。
それは、スマートフォンでもかまわないので、自分のお手持ちの機器を持って行き、そこに収録されている普段自分が好きで聞いている曲をベースに聞き比べることが重要です。収録されている曲は当然ハイレゾ対応で無いと思いますが、それで良いのです。
「J-POP」しか聞かない場合はJ-POPだけでもOKです。もっと幅広くJ-POPも洋楽もジャズ、アニメソングも聴くなどしている場合は、是非様々なジャンルで聴きくらべてください。
そうすると、女性ボーカルを聴いて「中域のつやが何ともなまめかしい」、しかし、ジャズのベースの「低音がふくよかでない」等に気付く場合があります。
自分が良く聴く曲が、気持ちよく聞こえるかどうかに集中して聴きくらべてみてください。
【一口メモ】「エージング」って何?
イヤホン・へッドホンを語る上でよく聞くのが「エージング」というキーワードです。
エージングとは元々「老化.老齢化」または「(ワインやチーズなどの)熟成」という意味があり、ここでは後者の方の意味を指します。
エージングで実際に何をするのかというと、「一定時間音楽を流す」というシンブルなものです。数十時問から100時間以上音楽を流すことによっ
て、音がこなれていくのです。いわば「憤らし運転」のようなものです。
スピーカーの世界ではこの「エージング」は絶対にやらねばならないとの認識が広まっていました。現に私が使用しているYAMAHA NS-1 Classic は30年前の代物ですからエージングの意味では完全にこなれています(^_^)
エージングをすると確実に音が変わると思って間違いありません。
米国の「Inner Fidelity」というWebサイ卜で、エージングによって音が変わるかどうかを計測する実験の結果が掲載されました。エージングに時間がかかることで有名なAKGの「Quincy Jones Q701」というへッドホンを使って検証したところ、新品のへッドホンと1000時間使用したへッドホンでは音に違いがあり、ブラインドテス卜でその違いがわかることが実証されています。

さてヘッドフォンを決めたなら、いよいよプレーヤーを選びましょう
選び方のポイントは
- 価格
- 音質・対応フォーマット
- 接続性
- 使い勝手
これらの要素のトータルバランスで選ぶことが重要です。
ポータブルオーディオプレイヤーは最近ブームになっており、10万円以上する機器も珍しくありませんが、購入しやすいエントリーモデルもあります。
はじめて、ハイレゾのポータブルプレイヤーを使っていこうという方は、まずエントリーモデルを選ぶことをお勧めします。
選ぶ際は、是非視聴してください。それには少し手間ですが、これを聞いてみたいと思う曲をあらかじめハイレゾ配信サイトからダウンロードしてMicroSDカードなどの外部メモリーにコピーしたものを持参するのがベストです。
出来ない場合は、お店の人に好きな楽曲の傾向を言って、視聴用の曲を選んでみてください。
比較する場合、対応フォーマットも重要な要素です。前編でお話ししました音源の対応フォーマットには、「96kHz/25bit」、「192kHz/24bit」、あるいは「5.6MhzDSD」など様々な形式があります(これはハイレゾ配信サイトからダウンロードする際に自分で選択します)。
こうした様々なフォーマットに対応していればそれだけ楽しめるハイレゾ音源の種類が増えるので、この点も考慮するポイントであると覚えておいてください。
もう一つのポイントは外部接続端子です。通常ですと、ヘッドフォン端子(3.5mmステレオミニ端子)が1系統あるのが普通です。
しかし、さらにヘッドフォンを高級なものにグレードアップする場合必要なヘッドフォン用アンプへの接続、USB-DAC機器へ接続して外部スピーカーで聴くなど拡張性を考えると、出力端子の豊富なモデルが大きなメリットとなります。
あとは、実際に触ってみたときの使い勝手の良さも重要です。
操作ボタンの使いやすさ、プレイリストの作成・編集のしやすさ、アルバムの表紙、楽曲情報の見やすさ等も含め使い勝手についても十分比較検討してみてください。
段階的にハイレゾ対応ポータブルオーディオを徹底的に楽しもう
ポータブルオーディオの魅力は手軽さにあります。本格的なオーディオの場合10万円~20万円で満足のいくシステムを組むのは難しいのですが、ポータブルオーディオの場合は10万円もあれば、かなり満足できるリスニング環境が作れます。
そこで、今回は段階的にステップアップできる組み合わせを紹介します。
ウオークマンでハイレゾらしさを楽しむ入門コース(予算5万円)
内訳はポータブルプレイヤーが2万円、ヘッドフォンが3万円と言った組み合わせです。
数千円のヘッドフォンと、1万円前後のヘッドフォンを聞きくらべると音の数が数段増えるのが分かります。私はジャズが好きなので、ジャズクラブなどで収録されたライブ盤を多く聞きますが、客席で食事をとる人のナイフやフォークのふれあう音、イントロのざわめきなど微細な音がはっきりと聞こえてきますので、いっそう臨場感を感じることが出来ます。更に3万円前後のヘッドフォンと聴きくらべるとその差が歴然と感じられます。その違いは「空気感」ではないかと思います。1万円ではそれぞれの音がクリアーになりました。3万円ではそれら一つ一つの音が重なり合って一つになるような一体感を味わえるような感覚です。このクラスになると、いっそうアナログ的すなわちいっそう原音に近い感じがしてくるのです。
そこで、今回思い切って3万円のヘッドフォンを選定しました。
ヘッドフォンは「モニター系」がお勧め
最初に選択する場合は「モニター系」と呼ばれるカテゴリーの製品をお勧めします。
モニター系とは、音楽の製作現場で音を確認する為に使用されるヘッドホンを指します。
一言でで表現すると「フラットで素直な音質」といった感じです。製作現場では細かい音を確認するために余計な味付けがされていないヘッドフォンが求められるのです。
製作現場(録音現場)でミュージシャンや、プロデューサー、エンジニアがチェックしている音だとすれば、モニターヘッドフォンの音がまさに原音といえるでしょう。
そうした意味で、まずモニター系のヘッドフォンをお勧めします。
低域から高域まで強調することなく、フラットに表現する、そこにメーカーが若干の味付けを施して個性とするのがモニター系ヘッドフォンです。
私がお勧めする製品は、今も私自身が使用していますSony製の「MDR-1A」です。
ポイントは、ハイレゾの高音質に触れると「もっといい音はないか」とさらに高音質を求めたくなります。高音質を求める際にその方向性は様々だと思いますが、リファレンス(基準)になる音が必要となります。
その意味でも「MDR-1A」は後々までもリファレンスになると思います。
今後更に高音質を求める際に、例えば低域の力強さはあるか、高域の解像度は高いかなど、モニター系ヘッドフォンをリファレンスにすることで自分の好みの音質の方向性を見つけられるのではと思います。
【一口メモ】:Sony製「MDR-1A」

MDR-1Aの特徴を記載します。
- 可聴帯域をはるかに超える100kHz再生を実現
- 広帯域再生を実現する新開発40mmドライバーユニット
- アルミニウムコートLCP振動板を採用
- 重低音のリズムを正確に再現するビートレスポンスコントロール
- 快適な装着性
- エルゴノミック立体縫製イヤーパッド
- 包み込む装着感を実現するエンフォールディングストラクチャー
- 可動部のガタつきを低減するサイレントジョイント
- インワードアクシスストラクチャー
- 銀コートOFC線を採用
- 独立グラウンドケーブル
- ケーブルを使い分けられる着脱式
- 別売ケーブルでバランス接続にも対応
- 左右の音の分離を改善し、ノイズに強いバランス接続に対応
- 収納しやすいスイーベル機構
- 持ち運びに便利なキャリングポーチ付属
- スマートフォン用マイク/リモコン付きケーブル
- リモコン操作を好みの設定に変えられるXperia(TM)専用(*)「SmartKeyアプリ」
このような数多くの特徴を備え、多数の人に支持されているモニター系ヘッドフォンなので是非メーカ製品紹介HomePageを見て頂くのが一番だと思います。
イヤーフォン型についてはカナル型と呼ばれるタイプがオススメです。カナルとは耳栓という意味です。インナーイヤー型と書かれているものもありますが、それよりは、耳の深くにある外耳道(イヤーカナル)を指し、インナーイヤー型よりも深く差し込んで使います。
カナル型イヤホンは、その形状から耳の上にコードをはわせて、しっかりと密着させる「シェア掛け」が良いとされています。そのクリアで抜けの良い音質は、一度聴くと癖になります。
シェア掛け
このカナル型イヤホンで私のお勧めする製品はB&O PLAY初のワイヤレスイヤホン「Beoplay H5」です。
非常に高性能なスピーカー、高性能でなヘッドホンを製造しているデンマークのBang & Olufsen(バング&オルフセン)社が発売したワイヤレスイヤホン「Beoplay H5」です。
今年の7月下旬に発売されたもので、私は早速視聴に出かけました。価格は¥29,900で抜群のコストパフォーマンスで、これほどまでに抜けが良く、繊細な音まで緻密に再現できるのかと驚きの印象です。
またデザインも良く、おしゃれな製品です。外出先でハイレゾの高音質の音楽をおしゃれに聴くにはもってこいの製品です。

ポータブルオーディオプレイヤーはSonyハイレゾ対応「ウオークマンA20シリーズ」で決まり
オススメの理由はなんといってもコストパーフォーマンスの高さです。
2万円程度の価格でこれだけの解像度の高い音質が味わえるのかと驚かれると思います。
私の感覚で言うと、「ハイレゾらしい音質」、つまり「もや」が取り払われ、ギターは左、ベースは右、ボーカルは中央、ドラムは右奥と言ったように音の姿と奥行き(定位)が見えてきます。
ドラムのシンバルのハイハット、ギターのピッキング・カッティング、トランペットの金属的なシャープな音などが、澄み渡って聞こえるような感じがします。
まさにハイレゾならではの高音質、高精細感を味わいたいと言う人にはもってこいだと思います。
【一口メモ】:Sony製ハイレゾ対応「ウオークマンA20シリーズ」

特徴としては,本当に様々な点があり下記に列挙しますが、メーカーの製品紹介HomePageを見て頂くのが一番です。
- ハイレゾ音源に対応
- 高音質を実現する本体設計
- 自然で広がりのあるクリアなサウンドを再現「クリアフェーズ」
- 高音質をより身近に。世界最小・最軽量(*)のハイレゾ対応オーディオプレーヤー
- 拡張性:
- microSDメモリーカードに対応
- 「Media Go」で、さまざまなコンテンツを一元管理
- ウォークマンの音楽をワイヤレスリスニング
- 音楽と一緒に歌詞も楽しめる「歌詞ピタ(TM)」
このように、音質、操作性に優れているのはもちろんのこと、ワイヤレスでも音質を損ねないで聴ける、音楽と一緒に歌詞も楽しめるなど遊び心にも工夫が施されている点など絶大な人気を集めている理由だと思います。
今回のお勧めとして期せずして、Sony製品をピックアップしましたが、これらはいずれも市場で高い評価を受けて、売れ筋製品です。
かつて、ウオークマンを世に送りだし、斬新なアイディアを提供し市場を席巻したSonyの面目躍如というところですね。
まとめ
今回は、手軽に外でも楽しめるハイレゾ対応のポータブルオーディオプレイヤーを中心にした内容を書きました。
ハイレゾを楽しむには、圧縮ファイル形式、音質に影響を与える量子化ビット数、サンプリング周波数等の意味などこの世界特有な言葉について知っておいた方が、よりハイレゾの世界を楽しめると思いますので、是非前編も読んでいただくと参考になると思います。
[surfing_other_article id=549]さて、今回は予算5万円内で自信を持ってお勧めできるラインアップを紹介しました。
次回、ハイレゾポータブルオーディオプレイヤー泥沼編として予算10万円の組み合わせについて紹介できればと考えています。
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