正式リリースされた接触確認アプリ:ココア(COCOA)の本質に迫る

この記事を書いている2020年6月20日、日本では5月25日緊急事態宣言が全国で解除されてから約1か月を経過しました。

確実に到来するであろう第2波への徹底対策と、一方で経済への打撃をこれ以上深刻化させない対策との非常に難しいバランスをいかにとって推し進めていくかの難しい新たな局面を迎えています。

そうした折、昨日、愛称COCOA(ココア)と呼ばれる厚生労働省が開発した新型コロナウイルス接触確認アプリが6月19日15時に正式リリースされました

そこで私も早速、Android版「COCOA」をインストールしましたので、そのアプリの概要並びに印象をこの記事にまとめました。

 

COCOA(ココア)正式名称新型コロナウイルス接触確認アプリの内容とは

COCOAは、新型コロナウイルス感染症の感染者と接触した可能性について、通知を受け取ることができる、スマートフォンのアプリです。

もう少し具体的に説明しましょう。

[keikou]COCOAは、利用者本人の同意を前提に、スマートフォンの近接通信機能(ブルートゥース)を利用して、お互いに分からないようプライバシーを確保して、新型コロナウイルス感染症の陽性者と接触した可能性について、通知を受けることができるアプリです。[/keikou]
(「Bluetooth」の技術はおなじみのワイヤレスイヤホンなどで幅広く利用されている)

目的としては「利用者が、陽性者と接触した可能性が分かることで、検査の受診など保健所のサポートを早く受けること」です

厚生省が作成した分かりやすいビラを以下に示します。

ではCOCOAの仕組みについて詳しく見ていきましょう。

厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が作成した資料が一番わかりやすいので以下に掲載します。
「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application:厚生省HP」

(参考)「近接した状態に関する情報は、端末から外部に出ることはなく、プライバシーが確保された仕組みです」の資料には「 Apple/GoogleのAPIの仕様のドキュメントから作成」と記載されています。

この「 Apple/GoogleのAPIの仕様のドキュメントから作成」の意味は何でしょうか?

[keikou]5月21日「アップルとグーグル、新型コロナ「濃厚接触通知アプリ」APIを正式提供」というニュースが発表されました。[/keikou]

そしてアップルとグーグルは、新型コロナウイルス感染症対策の一環として開発してきた濃厚接触通知アプリのAPI(Exposure Notification API)の正式版の提供を開始しました。

これにより世界各国の公衆衛生機関は、濃厚接触通知アプリへAppleとGoogleのAPIを実装できるようになるわけです。

[topic color=”blue” title=”APIとは”] 「アプリケーションをプログラミングするためのインターフェース」で、ソフトウェアやアプリケーションなどの一部を外部に向けて公開することにより、第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにしてくれるものです。 つまりアップル/グーグル自体ではなく、アイフォーンやアンドロイド携帯向けのアプリを開発する業者などが、このツール(API)を使って追跡アプリを開発するということです。 [/topic]

こうした動きを踏まえ、日本政府はこのAPIをベースに「COCOA」を開発したのです。

AppleとGoogleのAPI提供に際し発表された以下のコメントを読むとやはり、プライバシー保護とセキュリティ面に最大限配慮しており、その点を評価します。

●感染症の拡大時に公衆衛生機関が用いる最も効果的な対策のひとつに、濃厚接触者を追跡調査する「コンタクト トレーシング」と呼ばれる手法があります。
このアプローチを用いることで、公衆衛生機関は感染者と接触した可能性のある人に連絡し、検査・治療・助言を提供することができます。●「Exposure Notification(濃厚接触の可能性を検出するシステム)」は、このコンタクト トレーシングの分野に登場した新しい要素のひとつで、デジタル技術を活用して、プライバシーを保護しながらウィルスへの暴露の可能性を知らせる仕組みです。●Exposure Notification は迅速な通知を実現するという特定の目標があり、無症状で拡散する可能性のあるウイルスの感染拡大を遅らせる上で、特に重要な役割を担います。●このような取り組みを支援するために、Apple と Google は、公衆衛生機関が開発するアプリが Android と iOS においてより正確、確実、かつ効果的に機能するようサポートする Exposure Notification の技術を共同開発しました。

●過去数週間に渡り、両社のエンジニアが協力し、世界中の公衆衛生機関、研究者、プライバシーの専門家グループ、政府機関のリーダーとの対話を通じ(同技術に対する)助言やご意見を頂きました。

●本日(2020年5月21日)より、Exposure Notification の提供を開始します。

●同技術は公衆衛生機関が利用でき、Android 及び iOS 搭載端末上で動作します。

●両社が開発したものはアプリではなく、公衆衛生機関が独自に開発するアプリに組み込むための API です。

●Apple と Google が提供する技術は、上記のようなアプリがより効果的に機能するように設計されています。
例えば、この技術は端末の位置情報を収集・利用しないだけでなく、さらにユーザーは Exposure Notification の機能を有効にするかどうか自体を選択することができます。

●新型コロナウイルス感染症に感染した人が、公衆衛生機関が提供するアプリで陽性の診断を報告するかどうかも、ユーザー次第です。

●この技術の成功は、ユーザーの利用にかかっており、私たちはこれらの強力なプライバシー保護が、そうしたアプリの利用を促進する上で最良のアプローチであると考えています。

●Apple と Google では、引き続き世界各国の公衆衛生機関を支援して参ります。

「コロナ濃厚接触通知スマホアプリAPI提供をApple,Google共同発表」記事を書いておりますので参照ください。
↓↓

COCOAアプリのインストールについて

私も早速自分のスマホに「COCOA」をインストールしました。

約4~5分で実に簡単にインストールが完了しますのでぜひ皆さんんも、自分そして大切な人を守るためにもインストールしてみてください。

[topic color=”blue” title=”アプリのインストール方法”]・App StoreまたはGoogle Playで「接触確認アプリ」で検索してインストールしてください。
Google Play
COCOAのインストール)

App Store
(COCOAのインストール)
[/topic]

では私のスマホ(アンドロイド:OPPO reno a)にインストールした具体的な手順を紹介します。


利用者のプライバシーの保護に最大限配慮するとのプライバシーポリシーに関する記述がありますので目を通してから「同意します」を押し先に進みます。


Bluetooth通信を有効にするために「有効にする」を押し先に進みます。


濃厚接触の可能性の通知をもらうために「ONにする」を押し先に進みます。


接触の通知を行うために本アプリのプッシュ通知を「有効にする」を押し先に進みます。


無事インストールできました
時間にして2~3分で完了しました。

とかく、行政が作るアプリはわかりにくく複雑だなぁという印象がありますが、字が大きく非常にシンプルにわかりやすく設計されていると感じました

[keikou]個人情報に対しても、ものすごく配慮しているように見えます。 この点が非常に重要なポイントです[/keikou]

常時Bluetoothをオンにしておくことでバッテリーの消費を気にする意見もあるようですが、そこはApple+Googleのこと、バッテリーの消耗など従来のアプリで利用拡大の妨げになってきた課題にもしっかりと対応することを明確に表明しています。

このアプリ「COCOA」についての私の意見

こうした動きに対して、さまざまな意見を耳にします。

皆さんセキュリティ、プライバシーの観点から不安感を持っているようです。

私もその点についてよーく理解します。

こうした不安が寄せられることをApple+Googleが軽んじているはずがないと私は断言します。

世界に冠たるプラットフォームを提供しているApple+Googleにとっては、我々が考える以上にセキュリティ、プライバシー保護については敏感です。

こうしたコロナ感染制圧に向けて世界各国が独自のアプリを開発して導入しておりその成果が問われています。

参考までに各国における具体的な取り組みについて下記に挙げておきます。

中国、韓国、台湾で開発されたシステムはスマートフォンで、位置情報、電話番号など個人情報を取得する仕組みで決済情報などで個人の行動歴も把握ができることからセキュリティ、プライバシー保護の観点で様々な問題点が指摘されているのも事実です。

[keikou]そうした世界で乱立するシステムを独自に開発する非効率さから、Apple+Googleが無償で様々な懸念を払しょくしてAPI開発を行い、世界で手を挙げれば(1国1システム)無償で使用できるようにした点は非常に評価できると私は考えます。[/keikou]

「COCOA」について、識者の方の中には、セキュリティ、プライバシーなどの問題点を指摘し、アプリをインストールする人が少ないと予想されることで、十分な効果を得ることができないのではと指摘する方がいます。

確かに、全国民の60%以上にアプリが導入されない場合は十分な効果が見込めないと懐疑的な意見もあるようです。

しかし、私は強く以下の点について主張したいです。

「コロナ感染の第2波を何としても発生させないよう、誰もが強く思う中で、問題点を指摘するなら、それに対して詳細に調査しそのうえで、少しでも皆が安心してインストールできるような情報を発信するのが筋だ」と考えます。

緊急事態宣言が発令された中、罰則規定がなくお願いベースにもかかわらず、国民それぞれが我慢し努力した結果、これまでのところパンデミック感染を発生させずにこれたのは、世界でも不思議がられています。

爆発的感染を抑えられた原因であるファクターXの解明が、取り上げられています。

それには様々な要因があるのかもしれません。

[keikou]しかし国民一人一人の我慢がパンデミックを抑えることができた最大の要因ではないでしょうか。[/keikou]

そうした国民性から考えても、このアプリを自分自身そして大切な人を守ることから、少しでも多くの人にインストールしてもらいたいと、個人的には強く思います。

更に思いを述べます。

いったい「COCOA」はどこが開発したのでしょうか?

それについて少し触れます。
DIAMOND ONLINEの記事「コロナ「接触確認アプリ」開発者を直撃!個人情報の扱いは?効果は出る?」を参考にさせていただきました。

[topic color=”blue” title=”COCOA開発への思い”] それは一人の開発者の医療に対する信念から生まれたのです。

このアプリは、人材サービス会社パーソルホールディングスの子会社であるパーソルプロセス&テクノロジーが厚生労働省から受注し、工程管理を行います。

しかし、アプリの基盤は有志で集まったエンジニア集団「COVID-19 Radar Japan」が無償で開発したものです。

アプリの開発に携わったのは、日本マイクロソフトに所属し、エンジニア界隈では「デプロイ王子」の異名で知られる有名人の廣瀬一海さんです。

デプロイとは英語の「deploy」で、「配備する」とか「展開する」の意味です。デプロイ王子とは開発環境からステージング環境へシステムを反映させたり、ステージング環境から本番環境へ反映させたりする総合的な展開力に優れていることから命名されたと推測します(私見ですが……)

ちなみに廣瀬さんを紹介するくだりを載せておきます。
デプロイ王子としておなじみ、Microsoft Azureの第一人者である廣瀬一海。MVP(Microsoft Most Valuable Professional)受賞者でありながら、AWSのサービスにも詳しい。昨年まではアイレット cloudpack事業部 シニアソリューション アーキテクトだった……。

接触確認アプリを開発しようと考えた理由について廣瀬さんのお話をそのまま引用させていただきます。

廣瀬: 20年ほど前、エンジニアとして駆け出しの頃、日本医師会総合政策研究機構に所属して医療・介護用ソフトなどをつくっていました。

その頃に公衆衛生について勉強して関心があったということもあり、新型コロナウイルスの感染状況についてはかなり心配していました。

何かできることがないかと思っていた中、3月にシンガポール政府がコロナ感染追跡アプリをリリースしました。
シンガポール政府は、元々管理国家ともいわれていますし、不透明な部分があります。

医療用ソフトをつくっていた身として、医療は透明性が不可欠と思っています。透明性が担保されたアプリがあれば、他の国でも使ってもらえるのではないかと思いました。
本当に趣味で、世界のどこかで使ってくれる人がいたらいいなあというノリで始めたんです。

ただ、正直誰かに託したかった(笑)。

誰かが動いてくれることを期待したんですが、誰も最初は動かなかったので、知人に声をかけたりFacebookなどで広く呼びかけたりして、日本在住の5人のコアメンバーと一緒に進めていくことになりました

政府が示したアプリの留意点として、
●「透明性」
●「インクルーシブネス(包摂性)」
●「使用目的の限定」
●「検証」
など4つの評価軸があり、それらをクリアできたのが「COVID-19 Rader JAPAN」だったわけです。

結果として、廣瀬さんのものが日本政府に採用されることになりました。

「日本の人口の6割が利用しなければ、効果が出ないといわれています。

その点については、開発者としてどう思っていますか?」という質問に対し、廣瀬さんは次のように述べていますのでぜひ紹介します。
それはこうです。

廣瀬 :「国のアプリをつくりやがって」とか「秘密警察の前触れだ」とか暴言を吐かれたこともあります。

行政をテクノロジーが支えるような取り組みは今までになかったと思うので、それをゼロから進めていくのは大変でした。

私たちはお金を1円ももらわずに、ボランティアで開発しました。

たまには、そういう人たちがいるんだと信用してくれたらいいなと思います。

こんなアプリはない方がいいに決まっています。

だけど、そんなことを言っていられる現状ではない。

そのために、僕たちは、プライバシーや透明性などを最低限担保してきました。

薬は飲まなければ効果が出ないのと同じです。
初めて飲む薬が怖いのは分かりますが、効果を得るためには飲むしかありません。
怖がらずに飲んでくださいという気持ちです。

もちろん即効性を持つような対症療法薬が出てくることを期待したいです。

でも今は感染者を減らすということしかできないので、それにアプリが役立ってくれたらいいなと思います

自分が感染しないためのアプリではなく、自分が誰かに感染させないためのアプリです。

日本人の6割が、自分のためではなく誰かのために、自分の大切な人を守るために、アプリをインストールできるのかどうか。

そういうことが社会に問われているんだと思います。

[/topic]

「このようにCOCOA」は一人の開発者の医療に対する信念から生まれたのです

いかがですか?

わたしはドロドロした政治の世界とは全く異次元の若い清廉な熱き思いを持った方々によって開発された素晴しいシステムだと思います。

そして廣瀬さんの上述した言葉を心に刻み、そして若き「COVID-19 Rader JAPAN」チームの心意気に応え、皆が積極的に「自分が誰かに感染させないためのアプリ:COCOA」をインストールしませんか。

ただし導入を促すメッセージを安倍首相が発するのはやめるべきでしょう。

現在の安倍首相への不信感を踏まえると、かえって拒否反応が起こると私は思います。

各自治体が、それぞれの地域に応じて導入の安全性、懸念の払しょくなどへのメッセージを積極的に発信するのが良いと考えます。

パンデミックを抑えられたことに対する日本国民の我慢強さ、礼節を守る強さなどに対し世界から称賛、そして不思議さ?を得ています。

この「COCOA」を効果的に利用しコロナ第2波を見事防ぐことができたことに対しても、世界から称賛されようではないですか!

まとめ

コロナ感染拡大を防ぐために、命を懸けて日夜仕事をされている医療関係従事者をはじめ様々な業種の方々のご苦労・そしてその方々への感謝、さらにこの未曾有な状態でもがき苦しんでいる多くの方々(私も含め)のことを考えると、いてもたってもいられずに「COCOA」のリリースされた時点で記事を書きたくアップしました。

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