2016年はハイレゾ元年と言われ、今までと比べ高音質で音楽を楽しむ環境が整備され、ハイレゾと言う言葉を耳にする機会が増えています。
では始めに「ハイレゾ」について簡単にそのイメージを説明します。
ハイレゾとは高解像度の意味で、ハイレゾ音源はCDを上回る情報量をもっています。
(ハイレゾ音源は、音の情報量がCDの約6.5倍です(192kHz/24bitの場合))

従来のCDに比べ音の情報量が多いので、スタジオやコンサートホールで録音されたみずみずしいリアルサ ウンドが忠実に再現されるということです。
それこそアーティストの息づかいやライブの空気感など、CDでは聞こえなかったディテールやニュアンスを感じ取 ることができ、今までCDで聴いていた時よりも、深く味わうことが出来るのです。
まずは、このような感覚を持って頂き、更にもう少し細かくみていきましょう。
まず始めに、我々が生で聴く音楽(アナログデータ)を除き、提供される媒体で聴く音楽はすべてデ ジタルに変換された情報(ただしレコードはアナログデータとして記録)です。
では、生の演奏がどのようにしてCD、ハイレゾ配信用データなどに変換されるかを概略説明しておきます。
録音から音源生成まで

「アナログレコード」、「CD」、「ハイレゾ音源」にしろ、すべての音楽コンテンツは録音、編集、マスタリン グの過程を経て提供されます。
スタジオで録音されたボーカル、ピアノ、ベース、ドラム等々の録音データをミキシングして2トラック のステレオ音源(マスター音源)が出来ます。そしてマスター音源に収められたアナログデータをデジタ ルデータに変換するわけです。
アナログとデジタル
〇アナログ:演奏された音を電気信号に変換して記録したもの
〇デジタル:アナログデータをデジタル化(数値化)したもの
〇音のデジタル化とは:音の強弱を記録した「波形」をコンピュータで扱える数値に変換すること
デジタルデータに変換されたものをCDやハイレゾ音源などのフォーマットに合わせて「マスタリング(CD等 の原盤を製作する作業)」することで、最終的なコンテンツができあがります。
このマスタリング行程で、 「イコライジング(音質調整)」、「コンプレッション(音圧調整)」等を行います。
高音、中音、低音などと細かく分けて、それぞれのボリューム(音量)を調整する事です。
例えば、低音を大きくすれば、ベース音やドラム音を際立たせる事ができます。
CDを製作するには、マスター音源に比べてCDの「ダイナミックレンジ(音声信号の最小値と最大値の比率) 」が狭いためにCDのダイナミックレンジに収まるように圧縮(コンプレッション)します。
そうしたコンプレッション等は音楽CDとして定められた「CD-DA」と呼ばれ決められた仕様に沿っています。
CD-DAとは …Compact Disc-Digital Audioの略。
SONYとPhilips両社により共同開発された規格(フォーマット)で、通常「音楽CD」とはこの規格で作られた ものを指します。
言うまでもなく、市販の音楽CDはこの規格に準拠しています。
一方デジタル化を行う上での精度を示す指標があり、この指標が音質を決めます。
デジタル化の精度を示す指標とは
量子化ビット数(bit):波形の振幅の上下動をどれだけきめ細かく記録するかを示す数値。
数値が大きい ほど、より小さく細かい音まで再現出来る

出典引用:JVC-NetworksInc.
サンプリング周波数(kHz):1秒間の波形の変化をどれだけ細分化して記録するかを示す数値。
数値が大 きいほど、より高い音域まで再現出来る

出典引用:JVC-NetworksInc.
例えばCDのデジタル化精度は量子化ビット数:16ビット、サンプリング周波数:44.1kHzで表されます。
量子化ビット数が16ビットとは音の強弱を2の16乗に細分化して記録すること。
サンプリング周波数が44.1kHZとは1秒間に44,100回波形の変化を記録すること。
一方、ハイレゾと呼ばれるものは、JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)が量子化ビット数:24ビット以上、サンプリング周波数:48kHz以上の音楽ファイルをハイレゾと称すると認 定付けたものです。

通常ハイレゾ音楽配信サイトなどで配信されているハイレゾ音源はサンプリング周波数が96kHz、192kHzで提供されており、192kHzの場合は、最高96kHzまでの周波数帯域をカバーし、ダイナミックレンジは約144dB となっています。
ダイナミックレンジ(英: dynamic range)とは、識別可能な信号の最小値と最大値の比率をいう。信号の 情報量を表すアナログ指標のひとつでその数値が大きいほど細部までの音楽情報が収まっていいると考え ます。
CDのダイナミックレンジは約96dBに対し、ハイレゾは約144dBでより多くの細部までの音楽情報「音の太さ ・繊細さ・奥行き・圧力・表現力」が詰まっています。
こうした、指標の違いが音質そのものに大きく影響しており、ハイレゾの登場により、これまでは決して聴くことのできなかったマスター音源そのもの、もしくはそれに近い音質のコンテンツを手軽 に購入して聴けるようになったわけです。
CDでは記録しきれないライブ会場の空気感をハイレゾでは記録できるようになったのです。
私はジャズが大好きで特に感じますが、客席のざわめきや、ディナーを食べながら演奏を聴いている雰囲 気音などもハイレゾであれば明瞭に聞こえ、その場にいるかのような臨場感を味わえるのです。
ジャズについて、気軽にジャズを楽しもうという思いで書いた記事がありますので、もしジャズについて少しでも興味のある方は読んで頂けると有り難いです。
今まで、ジャズに興味が少しあるが、どこから触れていけばわからない方を対象にしました。
結構、楽しめる曲を聴けるようにしてありますので、「あっ!ジャズって意外にいいな!」と感じて頂く可能性があります。
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デジタルデータへの変換について

CD媒体に収録可能な容量の制限から原音を圧縮する必要があり、メーカーを中心として圧縮技術、圧縮形 式が研究され、MP3という形式が主として採用されてきました。
では圧縮ファイル形式について知っておきましょう。
圧縮ファイル形式
音源には、圧縮し元に戻せない非可逆圧縮、圧縮した後、完全に元に戻せる可逆圧縮、非圧縮があります 。
非可逆圧縮
MP3:音源を最大10%ほどまで圧縮するため、PCで取り扱いしやすい。
インターネット上でのやりとりも容易。ファイルサイズは5分程度の曲で約5MB
AAC:MP3の後継形式で多くの音楽配信サービスに採用されている。
ファイルサイズは5分程度で約5MB
可逆圧縮
FLAC:音源から音質を劣化させずにファイルサイズを押さえられるのが特徴。
「ハイレゾ」として配信される音楽の多くに採用されている。
ファイルサイズは約5分程度で約40MB。「コンパクトさ」と「情報量の維持」を両立できるのが、FLAC形
式。
ALAC:FLACと同様な特徴を持つ。ファイルサイズは約5分程度で約40MB。
アップルの可逆圧縮方式のオーディオコーデック。iTunes等で使用されている。
非圧縮
音楽CDの音源をそのままファイル化したもの。
WAV:Windows環境での標準ファイル、音源と同等の音質、ファイルサイズは約5分程度で約50MB
AIFF:Macの標準ファイいる形式。WAV形式と同様
現在、音楽配信サービスを利用している人の多くは「MP3」や「AAC」といったファイルを音源としている はず。
今までよりいい音で聴きたいというユーザーのために、CDを超える音質のハイレゾ音源の配信がスタート し、PCで高品位な音楽を楽しむためのハードウェア環境も整いはじめました。
そうした中で、手軽にパソコンを利用したPCオーディオが盛り上がっています。
家電量販店のオーディオコーナーに行くとハイレゾ関連の製品がたくさん展示されています。

ハイレゾについてのまとめ
ハイレゾとは、PCM24bit、あるいはDSD1bitなどの、CDを圧倒的に上回る情報量を持つ音楽データです。
High Resolution の略ですが、そのまま日本語に訳すと高解像という意味になります。
つまり、CDに比較して格段に細やかな音の表現ができる音楽データを指します。
映像で例えると、ブラウン管テレビの映像とフルHD液晶テレビの映像を比較した場合、「俳優の顔のシワ が良く見える」「風景が鮮やかになった」「映像の奥行きが増した」という感覚に近いでしょう。
ハイレゾ音源は音の情報量がCDの約6.5倍(*)ありますのでアーティストの息づかいやライブの空気感など 、CDでは聴こえなかったディテールやニュアンスを感じ取れる、原音に近い音質なんです。
これから出会う楽曲を最良の音質で楽しめる一方で、これまで慣れ親しんだ楽曲も、ハイレゾで聴き直す ことで全く新たな魅力に気付くといったことも少なくありません。
ハイレゾ音源についてCDとは比べものにならないほどの情報量を持つ音源であることを理解しました。
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